宮部みゆき「楽園」原作小説のラスト結末!サイコメトラーとは
宮部みゆきさんの「楽園」は、長編小説である。「模倣犯」の続編という側面もある。
模倣犯の事件から9年が過ぎ、まだそのショックから立ち直れていない前畑滋子が主人公。
いわゆるサイコメトラーであったかどうかの確認という依頼が、知られざる事件の真相を紐解いていくことになる。
楽園(上) [ 宮部みゆき ]
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宮部みゆき「楽園」原作小説の結末
等は、子供のためのボランティア団体あおぞら会での活動の際に三和明夫に遭遇していた。等は、明夫の頭の中の土井崎茜の死を見た。それを絵に描いていた。
三和明夫は茜の彼氏で茜の死の真相を知っていた。
等に意味は分からなかったかもしれないが明夫の記憶には、悲哀の色がついていた。この女の子が家から出られなくて悲しいのだとも言っていた。
土井崎夫妻が茜を殺害したのは、茜が単なる不良だっただけでなく、明夫とともに人として許されざる犯罪を犯したからである。
明夫の運転で田舎の夜道をドライブしていた際に若い女性をはね、痛がって立ち上がれなくなっている女性を病院に連れて行くといってふたりで後部座席に運び、茜は女性から金品を奪った。その後道端の小屋へ運び、茜は女性の衣服を奪って、明夫が女性に乱暴するのを止めることもせず、ぐったりした女性の生死を確かめずに小屋の裏手に埋めた。
その後泥まみれで爪もはがれて帰宅した茜はそのことを両親に話し、その場の勢いで両親は茜を殺害し埋めた。
茜が姿を消して不審に思った明夫はしつこく茜の両親を問い詰め、両親は殺害を認めてしまったため、明夫は真相を知っていた。そのことで以後16年両親を強請り続けた。
明夫は、その後も性犯罪を含む様々な犯罪を繰り返し、刑務所にも入った。そんな明夫が子供のための団体であるあおぞら会の活動に参加していた理由は、あおぞら会を運営している親会社の会長が伯父の金川一男であったからだ。金川は問題のある明夫を立ち直らせるという理由で無責任にもあおぞら会に一時期参加させていた。
物語の始まりは、等の母・萩谷敏子が、事故死した等に超能力のようなものがあったのかどうかを確かめたい、とライター・前畑滋子への依頼であった。
滋子の結論は、等には人の頭の中を見ることができる能力があった、である。等はいわゆるサイコメトラーであった。
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サイコメトラーとは
サイコメトラーとは、物体などに残る思念を読み取る能力がある人である。
サイコメトリーという能力の厳密な定義はないそうである。
等は、人の頭の中にある思念を視覚情報と感情を読み取ることができたようだ。
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宮部みゆき「楽園」原作小説の感想
宮部みゆきさんの作品で、超能力系というと「火車」を思い出います。燃やしてしまう能力があるインドの人をテレビで見たことがあってあのときも宮部みゆきの話だ、と思ったものです。宮部さんの小説は、内容というよりもただずっとこの物語を読みたい続けたいと感じます。
楽園に出てくる能力は、読み取る能力で、外国では犯罪捜査に活用されたりするそうだが、日本ではどうなのだろう。
しかしながら、小説では、サイコメトラーという部分よりも、そういった能力を持たないふつうの人たちが引き起こした痛ましい事件と家族や親子の愛憎が物語の中心になっています。
とても長いけれど一気に読み進めてしまいました。
この楽園が続編となる「模倣犯」のドラマが、2016年9月に中谷美紀さん主演でテレ東で放送されたのを見て、楽園を読みました。
ずっと昔に見た模倣犯の映画が、正直あまり好みじゃなくて、楽園も模倣犯つながりと聞いてなんとなく読まなかったんです。いや、小説はすごくおもしろかったのですけれど、だからこそ落胆が大きかったとでもいうか。好みですよね(笑
模倣犯の小説長かったんです。完結は5巻。
模倣犯(5) [ 宮部みゆき ]
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だから2時間ほどの映画じゃ足りなかったのだと思います。
しかしながら、中谷さんのドラマが思いがけずとてもよかったので、読んでない楽園も読みたいと思って、すぐに楽園を購入しました。ドラマは中谷さんが主演ということで見たのですけどね。なんかリベンジした気分でした(笑
こちらは2夜で4時間とかあって長かったし。
今回の楽園もすっかり前畑滋子=中谷美紀という気分で読みました。
と思ったら、楽園がWOWOWのドラマになるそうですね。
前畑滋子は仲間由紀恵さん。
これはまただいぶ違ったイメージです。
配役を見ると、小説イメージしていた人とだいぶ違うけれど、きっとドラマはドラマで面白そうです。WOWOWの連続ドラマWシリーズ、地上波とは違ってけっこう暗い感じが多いけれど、素敵な役者さんばかり出ていて面白いですよね。
原作小説とどんなところが違ってくるのかこちらも楽しみです。
いやすでに、弁護士が女性とか、等本人と前畑滋子が実際に会うこととか、敏子が53歳よりふけて見えないこととか、土井崎夫妻が蚤の夫婦でないところとか、イントロの時点でだいぶ違っている。
模倣犯事件の呪縛からの開放や楽園というタイトルの意味なども盛り込まれているようです。
楽園というタイトルの意味、今はわたしには明確にわかってなくて言葉で説明することもできないけれど、ドラマを見終わるとまた原作者以外のこの物語の理解を知ることになって違った気持ちになるのかもしれない。